校閲の仕事をしていて「いい気分」になったこと
校閲のお礼にと著者の男性から老舗和菓子店の箱詰め最中を頂いたことがある。 校閲者が校閲を行うのは当たり前ですが「いやいやそんな、お礼なんてとんでもない。当然のことをしたまでですよ」とは思わなかったですね。私はそこまで 生意気な人間ではないんですよ、実はね(笑) へえ~。 こんな人もいるんだな~。 ずいぶんきちんとした人だな~。 こういうことができる人っていいよね~。 感謝する気持ちがまず素敵でしょ~。 それを行動で示せるのがまた素敵でしょ~。 ストレートでいいよね~。 しかも「女性に」よ~。 高倉健みたいだよね~。 世の中こんな男性ばかりだったら毎日笑ってられるよね~。 実際に健さんだったらどんな感じなのでしょうか。 「気持ちばかりですが、よかったら召し上がってください」 ・・・・・・(空気) 「それじゃ、お元気で。失礼します」 ・・・・・・(空気) (おしまい) で、箱詰め最中をスッと置いてサッと行く。ダラダラそこにいないで立ち去る。これが男だね。いつまでも突っ立ってたり、引き止めようとして話しだしたりしなーい。連絡先を聞きだそうなんてもってのほかほーか。「高倉健」というのはだから手が届かない、難しいものだろうとは思うけどね。 私は出版社の編集部や校閲部の社員に直接リクエストするんですよ。「高倉健の企画があったら私に任せてほしい」―― だいたいどう答えると思います?――「そうなんですか!ファンなんですか!了解です!ありがとうございます!」――すごい簡単(笑)――芸能関係では他に西城秀樹も言ってあります。 100パーセント仕事の話ですから、こういう積極性は歓迎されるのでしょうね。「そんな口は今まできいたことがない」という人は一度やってみてください。 世の中いろいろな仕事があって、そのうちのひとつ、校閲職にも当然言えることですが、長く大真面目にやっていますとね、そんなふうに美味しい箱詰め最中がいきなり眼の前に現れる、思いも寄らない出来事がある日、空からストンと降ってくることもあるわけです。実務経験5年未満の人は、しぶとく仕事を続けていってください。しぶとさは能力であり武器でもある。おまけにフリーなら定年無し、それこそ死ぬまでやっていられる「貧困大国カネ無しジャパン」においては大きな強みともなり得るのですから、