商業印刷物と英語力、報酬の高い校正会社を薦める理由




起床時間は午前4時、朝勉強は8時まで。目下のところは英文法、次いで英語関連の和書を読む。英文法は数年に一度の周期で画像の洋書「English Grammar in Use」に立ち戻る。第2版(写真左)を長く使っていたが、今では第5版(同右)が出ていることを知ったのがつい最近。気分一新で今月に入り最新版を購入した。表紙の明るいブルーが気に入っている。


不変の「見開き1単元」が魅力の本書。構成は向かって左のページが文法解説、右は練習問題。ペースが取りやすく弾みがついてパンパカ進む。左は一読のみ、右に移って解答は声に出しながら紙に書きつけていく。コピー用紙A4白を使用。表と裏が埋まったらゴミ箱にポイ。


校正・校閲職志望者でTOEIC860以上または同等レベルの英語力があり、校正会社に登録・所属することを考えている人は履歴書に書いて面接でも大いにアピールしてほしい。昨今スコア900以上の人も珍しくはないが、それだけの能力を持つ人が「基本和文の校正会社で」仕事をしようとするなら僅少の枠に入ることができる。いわゆる希少価値だから仕事が拡大・増大する可能性がある。


ここ10年余りは書籍の仕事がメインだがそれ以前、商業印刷物の仕事を主としていた頃は、大手の広告代理店・印刷会社の英語案件を多く請けていた。当時は独立前だから仕事を受注するのは校正会社営業担当。そこから打診を受けて1本また1本と単独で作業する。完了したら中身の現状、作業の実際等に関する説明を加えて営業担当に返却する。


稀に発注企業担当者が「作業者と直接話したい」と言うこともあり、その場合は電話になる。あるいは返却時、営業担当に同行することもある。営業担当は英語に関する説明ができないからだ。校正会社営業担当・発注企業担当者のいずれにしても、電話・対面のどちらにしても、案件をあいだに挟んで口頭でやり取りをするのは大事。最近これをやらない企業が多い。パンと郵送してきてポンと返送する、トンと受領してハイおしまい。話すことを欠いている。


受発注が頻繁で信頼関係も確立されているならそういうときがあるのもいいが、そうでもないのに「無言」が常態化するのは違うと思う。1995年11月のWindows日本上陸から四半世紀余り。その昔はきいていた口を人はどんどんきかなくなった。世の中が悪いときほど直接に「本当の」言葉を交わし合う、そうして人らしく在ることは誰にとっても力になる気がするけどね。


お金の話は慎むのが美徳の斜陽大国ジャパン。そんなんだから斜陽なんじゃないか。生きるためにはお金が必要。そのために働いているにもかかわらず「お金の話を慎む」とは何?――ということで、今日はお金の話をしよう。過去の実例。販促A4チラシ1枚、オモテとウラの両面、全部英語、余白多し、最終段階でスペルミス等決定的な誤植があれば正すのみ、この素読みでおよそ2万5000円。校正会社のマージンは10%。ここは重要で、25%以上ましてや30や40の割合で持っていく会社はただの搾取。上層部の要職に就いている人間だけが肥えている。


話を戻して上の案件。これだと念には念を入れ、数度の見直しを含めても作業時間は20分。とっくの昔からこの業界も景気は悪く、値下げ交渉に応じざるを得ない状況は出まくっているかもしれないし、今の今の金額はあいにく知らないが、登録・所属する校正会社はこんなふうに、校正者個人の能力と仕事ぶりを重んじ、高い報酬を実現させているところを薦める。


理由は高額報酬それ自体がまず挙げられるが、もう一つ言えるのはそれゆえ仕事に意欲的になり、プロ校正者としての責任感が強まると同時にプライドが高まるから。ここは要所。プライドを失うとせいぜい横ばい、もしくは堕ちるかのどちらかだから。フリーランス、特に若い人たち、この業界で日が浅く「こんなもんか」と誤解させられている人たち、低報酬・低賃金の仕事であろうが真面目に取り組んでいる人たちにひと言。自虐や遠慮、ジャパン特有のろくでもない文化や風土は全力で踏み潰し、勢いよく蹴り飛ばし、必要とあらば堂々と物を言うこと。取って食われやしませんからね(笑)常に「自分にとって」正しいキャリアの積み上げ方を模索し、行動に移してほしいと思います。


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