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夏の終わりにいやでも明るくなるサザン

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どこかで聞いた「音楽って苦し紛れにやるもんじゃないんでね」という桑田佳祐さんの言葉は印象的でした。シンプルですがストレート。頭のいい人だなと思います。 サービス精神が旺盛などと評価される彼でもありますが、いやいやそうではなくて、ただただ好きでこうしている、そういう音楽人ではないか。どう見ても彼自身がとにかく楽しそうですのでね。 映像は1980年のもので、いわゆるロン毛。白いTシャツにデニムの短パン、短めの白いソックス。振り付けとは言えないような振り付けも、なんだか精一杯で元気がよくて健康的。淀みも含みもなく突き抜けて力強く爽快で微笑ましい限りです。 この動画は 桑田さんの「ダサかっこよさ」が炸裂していて好きなんですよね。デビューして数年足らずの頃ですが、とにかくリズム感が良く歌がうまい。「コミックバンド」と揶揄するばかりだった時期のメディアは遅れていましたね。この才能についていけなかったのでしょう。 歌詞といい曲といい、演奏といいパフォーマンスといい、それからこの声ですよね。すでにでき上がっている。世に出るべくして出た人だなと思います。動画のなかで、ときどきちょこっと映る原由子さんが、これまた美しくてとても素敵です。 *****  

「天才ひとり選ぶならこの人かな」の井上陽水

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井上陽水さんは、もう〈井上陽水〉というので一つのジャンルではないでしょうかね。 かっこいいんですよねぇ・・・「クレイジーラブ」 日本語が母語ですと聞こえるまま歌詞がすべてわかるのでいいですねぇ・・・「とまどうペリカン」 これも日本語が母語でなければ歌詞の凄さがわからないんですよねぇ・・・「Make-up Shadow」 この人には言葉が見つかりませんしその必要もないかもしれませんねぇ・・・「東へ西へ」 *****

「この人が死んだときは泣くだろうな」の桑田佳祐

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1978年リリースのファースト・アルバム「熱い胸さわぎ」 若い頃、桑田佳祐さんのことが死ぬほど好きで、サザンオールスターズのファンクラブに入っていました。 定期的に自宅に郵送されてくる会報も、楽しみでしかたがありませんでした。 タイトルの通り、この人が死んだときは泣くだろうなと今から思っています。 志村けんさんにしても仲本工事さんにしてもそうなのですが、根が真面目で、仕事熱心で、 多くの人々をたくさん楽しませた方に限って、その死がたまらなく悲しいのはなぜなのでしょうね。 桑田佳祐さんが現在のような全国区の大物になる遥か前には、今と異なる「まさにその時」の魅力が当然にあり、 時を経てもそれを忘れることは大変に難しい、というよりそれは、どうにもこうにも不可能なのです。    1、青山学院大学でバンドを結成してくれてありがとうございます。  2、芸能界にデビューしてくれてありがとうございます。  3、こんなに長く歌い続けてきてくれて本当にありがとうございます。 安いプラスチックのすぐに壊れる玩具のようなこの国の政治家には言葉もありません。 美しい物や美しい人、美しい才能や美しい世界を眺め、それらで自分を満たしたい、 始めてまもないストーンアートも、そんな希求の表れのひとつなのかもしれないと思います。 今日は、素晴らしく上等な彼の楽曲とパフォーマンスを楽しめる動画をいくつかご紹介します。 それではまた。 DJ・コービーの伝説 ボディ・スペシャルⅡ マンピーのG★SPOT 旅姿六人衆 愛の言霊~Spiritual Message~ *****

アルジェリア、情熱出版人の物語

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今日は〈書店〉を舞台に描かれた物語をひとつ紹介したいと思います。 邦訳の書名は『アルジェリア、シャラ通りの小さな書店』―  2019年に東京・飯田橋の作品社から出版された一冊です。原著はフランス語で書かれており、タイトルは『Nos richesses』― ノ・リシェスと読んで「私たちの富」という意味ですが、原題と邦訳書のタイトルが全く異なるところに端から〈海外〉文学の距離や差異が感じとられ興味をそそります。 書名の日本語表現と文字遣いがいいですね。片仮名、漢字、平仮名3種の使用に加え、途中の読点も効いています。この短さの中に日本語表記の特異性が示され、音の流れもスラリとして耳に障りません。装画はアルベール・マルケ(Albert Marquet, 1875-1947)によるものでこれがまた魅力的。遠く離れた北アフリカの異国情緒を爽やかに伝えています。想像力が搔き立てられ、西のほうへ西のほうへと思いが馳せる。頭の中に心地よい風が吹きはじめ、今にも彼の地へ飛び立っていけそうなスイッチが入ります。著者はアルジェリア出身、パリ在住のカウテル・アディミ(Kaouther Adimi)― 1986年生まれの若い作家で聡明な印象を与える女性です。 出所:Kaouther Adimi on Facebook ( https://www.facebook.com/Kaouther-Adimi-109987733817799/ )   出所:SEUIL( https://www.seuil.com/ouvrage/nos-richesses-kaouther-adimi/9782021373806 ) 物語の始まりは1930年代半ばのアルジェリア。主人公は弱冠21歳の青年。ほぼ無一文で書店兼貸本屋兼出版社を立ち上げた実在の出版人、エドモン・シャルロ(Edmond Charlot, 1915-2004)― 文学にはかなり疎い私でもさすがに知っているアルベール・カミュを世に送り出した人物とのこと。店の名前は〈Les Vraies Richesses〉 ― レ・ヴレ・リシェスと読んで〈真の富〉― 本書を読み進めてまもないうちに現れる一節を引用しましょう。「読書する一人の人間には二人分の価値がある」(p.9) ― 可視化され数値化された物事にいとも容易く踊らされがちな現代において、本を読むという