中小企業庁、名指しの調査協力依頼




毎年のように秋になると「やってくる」中小企業庁からの「あなたさまは取引先からいじめられていないでしょうか」の調査協力依頼。以前は封書での郵送・返送形式であったものが、いつからでしたか画像のようなハガキで到着、オンラインでの回答形式に変わりました。たまたま忙しいときにぶつかってしまうと時間が取れず、回答不可となることもあるのですが、今年は若干忙しい合間を縫って提出を済ませました。と言いますのも、年度によっては「何か困ったことは起きていませんか」というお伺いのみなのですが、そのほかにもうひとつ「この取引先との間で問題は生じていませんか」と中小企業庁側が特定の企業を名指しして調査協力依頼をよこすケースがあり、今年は後者であったためです。





我々回答者側からの〈よくある質問〉Q5には、ご覧の通り「調査回答したことや回答内容が親事業者などに知られることはありませんか」と記されています。回答することに不安を覚える人々が少なくはないのでしょう。取引先から「やり返されはしないか」と恐れる人々が存在するということですね。逆ギレすなわち「報復行為」と称されるものですが、察するに相も変わらず体質が古く頭の悪い親事業者が跋扈しているのでしょう。本当に残念なことですね。いや我々のほうがではなく旧態依然とした懲りない企業のほうがですよ。そんな「強者」まがいの取引先を相手とする我々「弱者」設定の労働者を安堵させる文言がA5に記されています。「本調査にご協力いただいたことについては、秘密を厳守いたします」―― なるほど。「それなら安心、回答しようか、実際こんな困ったことが起きているし、聞いてくれるものなら聞いてほしい、助けてくれるものなら助けてほしい」――そんな感じの流れになるのでしょうかね。よくは分かりません。国に泣きついたことは過去にありませんのでね。


私に関して言うならば「いやいや、名前出してくれて結構ですよ、全然オッケーです、永山です、永山明子です」――「あの、永山さんて女性なんですけれどもね、これがまたやたらと弁が立つ感じの方で、お話を伺いましたらこんなこともある、あんなこともあると仰っているんです」―― そんな調子で思いきりやっていただいて結構なんですよね。何が言いたいか。世の中びくつくばかりが能じゃないってことです。人を頼りにするのもいい、そうした「気の毒な話」に耳を傾けることを職務としている人も、あるいは商売にしている人も多くいらっしゃるわけですからね。ただしその前に、まずは自分ひとりで反撃に出ることがあってもよいのではないかと思います。


始末が悪い相手であれば、より強力な反撃を要しますが遠慮は要りません。「イイヒト」でいる必要が一体全体どこにあるっていうんです? その種の「引き」は全く理解ができません。それこそ東京湾に沈める勢いで食ってかかる度胸を持ってやるべきです。相手がどこの誰であろうとそんなことは関係がない。間違っていることは間違っており、汚い真似をする企業は汚い真似をする企業であり、ずるいやり方というものはずるいやり方というものだというだけのこと。こちらが恐れを抱く必要など何ひとつありません。そしてそんなびくついた態度こそが頭の弱い取引先の手前勝手な連中をより助長させるのだという構図をしっかり認識することは非常に重要です。親事業者は自らを「強者」であると錯覚しているにすぎず、また我々を「弱者」であると誤って高を括り、たいそう生意気にこちらを舐めているだけの話ですからね。



話は変わって、上の画像は先述したように封書での郵送・返送形式であった頃の実際の回答用紙です。忙しいときにぶつかった年のもので提出できず保管してありますが「こんなふうに書いてくださいね」という丁寧なサンプルも同封されており、それが下の画像になります。



左からまいりましょう。「問題のある相手先法人事業者」その右には問題のある事業者の「主な事業」として「出版業」の文字が印字されています。wwwwwwwwwwwwwwwwww(笑)いーや、いーや、笑い事ではありませんね。サンプルの段階で「出版業」ですよ。「代表」的に問題の多い業界と解釈して差し支えないのでしょうか。さて、せっかくですからオンライン上の実際の回答ページを以下に複数ご紹介しましょう。スクリーンショットで見にくいかと思いますので、画像クリックで拡大表示のうえご覧ください。



いちばん上のオレンジ色の囲みの部分に中小企業庁が調査協力を希望している企業名がありますが伏せています。下のほうに私の名前があるのはご覧いただけますね。輝いて見えますよ。誇らしいではないですか。一介のフリーランス、どこにでもいる小市民なうえ、会社の名前もその後ろ盾も持たない自分がこんな所で堂々すっきりフルネーム全開なわけですから、いやでも気持ちが晴れ晴れするというものです。



いろいろと質問が続きますので淡々と入力を進めていきます。



「委託元から貴社(者)が不当な行為(支払遅延、減額、返品、買いたたき等)を行われたことはありますか?※必須」という質問ですので、あるかないかを回答します。



すべての回答を済ませたら送信をして終了です。上部には「委託元との取引調査の提出完了」と記されています。



無事、中小企業庁が受理したことを知らせるメールが届きます。赤色の囲みの3行目には「回答内容のPDFファイルは2年間保存してください」と記されています。場合によっては中小企業庁から連絡がきますので、こちらの側も何についてどう答えたか、確かに控えが必要ですね。


以上になりますが、さてさて来年はどうなることでしょう。しかしはっきり言えるのは「神のみぞ知る」というフレーズは当てはまらないということ。人間誰しも今の今より一歩先には悪人とも善人ともなり得るものです。どちらを取るのか選び定める「自由」が個々の人間には等しくあるわけですよね。旧統一教会でもあるまいに、いや百歩譲って神がいるのだと言うならそれは、一人ひとりの人間の内部に宿るものでしょう。ですから大して偉くもないのに偉そうな真似を繰り返すのはやめにして「あんたが神様になりなさいよ」「あんたが神様みたいに正しい光を放ちなさいよ」「あんたが自ら人に手を合わせられるような行いをしなさいよ」ということですね。そうして自分を変えていけたら、あんた自身だってこっちと一緒に生きているこの社会が、少しずつでも今よりマシなものになっていくでしょうし、ましてや国に目を付けられ、下請けの人間に陰であれこれ言われる一方の発展性のない関係性がもたらす重苦しい不快感や、非建設的かつ非生産的な膠着状態等々からも晴れて解放される道を選びとる方向性というものは、我々「弱者」の側にとどまらず、あんたがた「強者」の側にとっても〈爽やか・軽やか・イイ話〉ではないかと思うのですがいかがでしょうか。


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