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フリーランスという選択

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Photo by Lubo Minar on Unsplash 記事のタイトルを考えたときに「フリーランスという生き方」という安直なフレーズが浮かんだものの、すぐに却下したのは偉そうだなと思ったからです。だいたい生き方などというものは、実際語りきれるのかという疑問もにわかに生じましたのでね。その昔「オレ流」というのがありました。当時プロ野球選手だったある有名人から発生した言葉ですが、これなども穴があったらこちらのほうが入りたくなるぐらいに気恥ずかしい。ところが最近になって、今春から配信を開始したというこの方の動画サイト名に、懐かしくも再び「オレ流」の文字が躍っているのを目にしてしまいました。ただ単に相性が悪いのでしょう。女とはいえ江戸っ子の私からしますと、いい歳をした大の男がベラベラベラベラいつまで経っても「オレ語り」を展開するのは、美しい男らしさと遠く離れて整合しないように思われます。 ご覧の通りタイトルは「選択」という言葉に落としましたが、これは自分にとって実際にも選択であったことが大きいですね。在宅校正者としてかれこれ10余年、会社勤めという主流の働き方に終止符を打って以降、短くはない時間が経過しました。行きも帰りも満員の電車で疲弊するのが日課の一つという、ごく一般的な社会人の在りようとは無縁の暮らしです。タイムカードもなければ、給湯室で上司の悪口に花を咲かせることもなく、アフターファイブでまずい酒を吞まされることもなければ、銀座のコリドー街でちゃらい男に引っかけられることもないレモンのように爽やかな日々。 目を奪われるような種々の煌めきからは遠い半面、目に障って仕方がないガラクタのような人間やろくでもない出来事に煩わされることも大方ないと言ってよい「まるでここは小宇宙」のごとく単独の、しかし自身の居場所を確かに捉えることができる時空間。たとえ小さくともまとまり、自らの制御と掌握が利く日常が、いいか悪いかを別とする現在のライフスタイルです。そんな暮らしぶりにご関心を寄せる方々には、今回の記事も何かしらお役立ていただくことができるのかもしれません。   ご承知のとおり、新型コロナウイルス感染症の影響により、いまだ世界は平常の暮らしを取り戻しきれてはおらず、さらにはロシアによるウクライナ侵攻等も重なり、ますます先が見通せない状況に陥っています。そうし

総理と「わたし」の無関係な関係を笑う

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こんにちは、お久しぶりです。 3月は仕事が忙しく、そのうちそのうちと思いながら4月になだれ込み、 もうじきもうじきと思っていたら5月も変わらず6月も同様。 やっと緩くなってきたなと思った頃には早いもので7月ですか。 休止していた校正&校閲キャリア相談を再開しますので、何かありましたらどうぞ。 〈CONTACT〉に記載のメールアドレスまでご送信ください。 また休止以前、すでにメールでのやり取りを終えている方々の中には、 その続きがあるという方もいらっしゃるかもしれません。 申し訳なかったですね。いつでも気軽にご連絡をくださればと思います。 さてさて。 英語のブラッシュアップで一定期間オーストラリアに渡ることも時々考えはするのですが、 今どきジャパンの総体的低所得状況が彼の地とかけ離れてあまりにも不整合、 加えて円安も更に進むのではないかというダメ押しに見舞われ、容易にいきそうもない部分は無視できません。 学生さんの海外留学というのも、いっそう難しいものになっているのではないでしょうか。 ところで先般の日本国内閣総理大臣発「インヴェスト・イン・キシダ」― これには大笑いしましたね。 これほど先行き不透明な問題山積ジャパンに身を置きながら大笑いですよ。 精一杯な感じの日本語読みも耳について離れず、うっとうしい限りです。 「お前さんに投資?」 「誰が?」 最低賃金全国平均が1000円にすら到達していないダダ下がりの国のトップにどこの物好きが投資するんです? 一体全体どうしたらそこまでズレまくることができるのでしょうか。 それとも「いよいよ途上国並みに成り下がるのも時間の問題かジャパン」と見る私のほうがズレまくりなのでしょうか。 「はい、そこで」と政治に物を言うのもよいのですが、鏡に映る自分自身への物言いは一つとしてないでしょうか。 私の場合、仕事が最優先ですが、時間の許す限り新たな学びに取り組んでいます。 足りていないこと、よく知りたい、理解したいと思うことが多いものですからね。 同時に、それらが生活の糧の一部となるだけの能力と化すレベルに達することを常に意識し目指しています。 そうです。 出来損ないの不確実な政治に文句を垂れるいっぽうの偏りを遠ざけ、 可愛いくて仕方がない自分への投資を自ら着実に積み上げる日々の効果は絶大と考えており、 これは自身の経験からも確信を持って言

確定申告マーチ、水前寺清子の歌声とともに

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悪さをする奴らが消えてなくなりませんね。還付金詐欺が倍増、急増しているそうです。奴らを絶滅させるには「引っかからないこと」― それひとつしかないでしょう。自治体や税務署、年金事務所や社会保険事務所、金融機関等々から「還付金がありますよ」「お金を受け取れますよ」といった電話がかかってくることは絶対にありません。もう何年もの間、警察も注意喚起を行なっていますよね。 https://www.npa.go.jp/bureau/safetylife/sos47/case/refund/ 私は毎年確定申告をしており、必ず還付金があります。確定申告書をはじめとする必要書類一式を所轄税務署に提出するのですが、以後、自身が指定した金融機関の口座に振込が為されるまで、一度として電話がかかってきたことはありませんし、電話ではやらないわけですね。一定期間を経てある日のこと、次のようなハガキが自宅に郵送されてきます。 上の画像は、向かって左半分にもちろんのこと保護シールが貼られた状態で到着したものを取り去った写真です。個人情報、それに連なる所轄税務署名等々はすべて伏せてありますが、昨年2月に送付されてきた令和2年度分のもので、還付金の振込手続開始年月日の箇所には「R3.2.25」と印字されています。 今年の確定申告書の郵送を昨日済ませたところですので、3月中旬から遅くとも下旬には、還付金の振込が為されるでしょう。ご存じの方もいらっしゃるかと思いますが、還付金のある申告者は、2月 15 日を待たずに確定申告書を提出することができます。所得税を先取りされていますので、税務署は「取りすぎている税金をお戻ししなければならない」わけで、「△△と申しますが現況いかがでしょう? まだ日数かかりそうです?」などと問い合わせの電話をかけようものなら、かなりの低姿勢で進捗状況を教えてもくれます。 確定申告事務は慣れてしまえば何ということはありません。フリーランスの方々は面倒臭がらずにしっかり行ないましょう。取引先企業に迷惑をかけることがあってはいけませんよね。何より自分自身のために良いことにはなりません。「ザ・お役所」の税務署は、意外なほどに当たりが柔らかく親切です。「きちんとやろう」とする納税者には「きちんとしよう」というシンプルな好循環でしょうかね。合い言葉は〈清く正しく納税者、政府叩きは容赦なし〉というこ

フリーランスの泣き寝入りは発注企業の思う壺

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年明け最初の投稿になります。今年もよろしくお願いいたします。 本日は、2022 年1月27 日配信のニュース記事をひとつ紹介したいと思います。 上の画像はご覧のとおりNHKですね。いろいろ大変な昨今ですが、フリーランスの皆さんも非常に厳しい状況にある方が少なくはないでしょう。まずはササっと「泣き寝入り」の文言を安い辞書から削除することにいたしましょう。校正用語でいえば「入朱」ですね。赤ペン1本を取り出して「トル」と書き込むだけでOKなんです(笑) 赤色の囲みを見てみましょう。厚生労働省等がフリーランスを対象とする相談窓口を開設しているのですね。名称は「フリーランス・トラブル 110 番」― なるほど「110 番通報」ということですね。ひゃくとーばん・つーほー、ですね、分かりました、覚えておきましょう。記事によれば、2021 年 11 月末までの1年間で寄せられた相談件数はおよそ 4000 とのこと。政府も対策強化の検討に入っているそうですから、おそらく本件は推進されるものとみてよいでしょう。 緑色の最初の囲みを見てみますと、企業などから個人で仕事の発注を受け、報酬を得ている人は、2019 年時点で約 170 万人に上るとのこと。「ああ、私もそこに入っていますよ」と一言。同時に、労働人口全体から見れば依然として少数派、マイノリティなんですね。このマイノリティというものですが、そこに目を向ける、威勢の良い言葉を使うなら、そこに突っ込んでいく政府であるか、いや「イキ」「ママ」(校正用語)とする政府であるかという点は、21 世紀現代において一国の成熟度を測るモノサシのひとつといえるのではないかと思います。 次に緑色の2番目の囲みですが、ここはすべて引用しましょう。 フリーランスは雇用契約を結んで働く労働者のように定期昇給やベースアップなどで収入が増えるということはなく、法律で定める最低賃金も適用されません。 そのとおりですね。知っていますよ、当事者の私はもちろんのこと。しかしこれは私を含むフリーランスの人々のための文章ではありませんね。派遣社員、契約社員、パート・アルバイトで働く人材以上に「雇用の調整弁」としてフリーランスをいいように扱い、倫理や人道、正義といったものからは遠く離れた当該企業の全関係者が読むためにある文章ではないでしょうか。 2022 年1月14日付「ユニオ

個に還る~ R・W・エマソン『自己信頼』に力を借りて

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毎年のこと、年末年始を挟む期間は仕事が押し寄せ気味になるのですが、真っ向から逆らうように地元図書館の貸出上限を目一杯、ちょうど  30  冊の本を借り出してきたところです。果たしてどれだけ読み進められるかは分かりませんが、仕事ばかりしていると頭がからっぽになるのが嫌なんですね。忙しい忙しいで、社会の「さも真っ当な」一員であるかのようになるのもたまらなく嫌なんですよね。まるで「先進国の社会人の勲章」か「富める国での人生充実の証し」かとでも言いたげな「いつも仕事で忙しい」というお定まりの立派な感じの人間像を馬鹿みたいだと思うところがあるんですよ。 借り出した本の3分の2は英語読本、久方ぶりの英語力メンテナンスのための多読用途、その他3分の1はオーストラリア先住民・アボリジニ関連の一般書と専門書。今年1年はコロナ発生の前年より仕事が忙しくなりました。下の画像は本社所在地・宮城県仙台市、河北新報社のオンラインニュースに掲載されていた記事ですが、すでに耳慣れた「巣ごもり需要」も大きな要因となり、書籍の売れ行きは良かったようですね。 業界に身を置きながら他人事なこの感じ。冷静で客観的というやつですよ(笑)これがあながち冗談でもなくて、意味も意義も価値もある要所の一つではないかと思っているんですね。所属、帰属、安住、現状、固執、熱狂、錯覚、妄信、埋没等々に侵されない〈個〉の存在として常に〈自分以外〉のヒト・モノ・コトから一定の距離を取るという在り方です。「熱く冷める」「冷めて熱い」という感じでしょうか。 出所:「河北新報 ONLINE NEWS」 https://kahoku.news/articles/knp2021122401000416.html 社会で大きな「問題」が起こると関連書籍の発行は目に見えて増えますから、まぁそうだろうなと納得。仕事は選ばず、およそ断わらない主義なのですが、逆立ちしても時間が取れない、詰め込みようがない日程である場合には、当然のこと辞退となるわけで、昨年は2点、今年は4~5点でしたか、依頼に応じることができませんでした。手と目を使う絶対量には抗えないという仕事柄「高速」には限界があるということですね。 納期最長案件は来年1月半ば過ぎまで。現在手元にある仕事が一般書2点、英語の語学書4点、同じく英語の問題集2点、今週半ばの駆け込み2点というスケジュ

トマト三昧、短文限定サイト開設

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当ブログの姉妹サイトの位置づけで、新たなサイト『 在宅校正者の日々短文ブログ』 を開設、今日から投稿を始めました。サイト名のとおり短文限定のブログです。「超」を付けてもよいぐらい本当に短いブログなんですよ。余白もありながら多くて 10 行程度。1分と言わず 30 秒もあれば読み終えていただけるのではないかと思います。 仕事は幸いなことに1年を通じて繁忙期も閑散期もなく、いつでもたいがい仕事があるといった調子の在宅ワーカーなのですが、今年は取引先のうちの1社が年末に向けて新刊本が目白押し、とても忙しくなるとのことで、10 月時点から「よろしくメール予告」を受けており、すでにその状態になっています。 しばらくまとまった記事が書けないかなと残念に思っていたところ、いい考えが浮かびました。「そうだ、短いブログを始めよう!」―  多少忙しくてもササっと書けるブログサイトを作ればいい。私は書くことが好きなものですからね。 早速 Google のブログプラットフォーム Blogger で、タタタ、タタタン、テテテ、トトト、パパパ、パパパンと作成に着手。「目にすると活力が湧いてくると言われる〈赤〉をベースの色にしたい」と思いました。サイトの背景画像には複数のトマト、プロフィール写真もトマト、投稿文に添える画像もトマト。トマト三昧「赤でいっぱい」のブログです。 サイト名は「トマト通信」「トマト便り」「トマトの部屋」「トマトの声」等々、いくつか案が浮かんだのですが、最終的には「日々短文」― 分かりやすいものに決めました。赤、赤、赤 ―。魔除けの色とも聞きますね。読者の皆さんにも赤の「活力」が伝わり「魔除け」の力が及びますように。 初回の記事タイトルは「 起床時間は午前4時 」です。 ぜひお気軽にご訪問ください。 ※1 このサイトは2022年7月20日に閉鎖いたしました。 ※2 当サイト上の〈他サイトアーカイブ〉クリックで、投稿したすべての記事をご覧いただけます。 *****

書籍校正者は「漢字博士」か?

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Photo by kaori kubota on Unsplash 「書籍の校正や校閲の仕事をしているような人は、およそ知らない漢字などないのだろう、やたらに画数の多い〈薔薇〉のような漢字もササッと書けたりするのだろう、何と読むのか分からないような難しい漢字でも、薔薇より画数の多い漢字でも普通に書くことができるのだろう、まさに漢字博士ですよね、あ、漢字検定なんかも1級とかお持ちなんでしょう? いやお持ちでなくてもね、パッと受験したらパッと受かっちゃうんでしょうね、あの、やっぱり大学は国文学科をお出になっていらっしゃる?」 いいえ、そんなことはありません(笑)このサイトでも何度か記事にした放送大学に編入学する前のその昔、私は早稲田大学第二文学部の学生だったのですが、中退のうえ専攻は歴史学でしたし、漢字検定などは1級どころか受験したことすらないんですね。校正・校閲の仕事をしている人間が国文学科を出ているとか、とりわけ文学を好んでいるといった顕著な傾向などというものは、少なくともフリーで働く人間の間には見られません。言い換えれば、国文学を専攻していなくても文学に疎くても、校正者や校閲者にはなれるということです。 例えば本を読むより釣りやゴルフや料理が好きだという人もいますし、大学で心理学を専攻した人が、オフィス用品の分厚いカタログ校正に取り組んでいたりもします。消しゴムやクリップやセロハンテープや蛍光ペンの写真と価格と商品名等を確認し続ける校正作業で、日に軽く数万を稼いでいたりもするんですね。フリー校正者のバックグラウンドは実に多様です。 私の職歴は直近  13  年、それよりかなり前にも校正の仕事をしていた時期があり、通算  21  年ですので短くはないほうに入るかと思いますが、ある時期まで、こと漢字に関しては弱かったんですね。もともと日本語が好きではなく、 10  代の終りごろから外国語のほうに大きな比重をかけていました。日本語以前に日本自体が好きではなかったので反動が大きかったんですね。英語にフランス語、韓国語にドイツ語とやたらに手を伸ばしていました。 結果、校正・校閲の仕事でも対応可能な実力がついたのは英語と韓国語の二つだけですが、英語一つにしましても「ある程度できる」ぐらいで「外国語がよくお出来になるんですね」ということになってしまう国ですから、英・韓はも

校正入門、はじめの一歩は独習可

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「校正実務は未経験、やはり通学制の専門学校に行くのがベストだろうか、あるいは通信制の講座を受講するのはどうだろうか」等々、校正の学び方について悩んでいる方にお勧めしたいのが「とにかく実践」の第一歩として、書き込み式の練習帳を用いた模擬校正を「まずはやってみる」という入り方です。校正とは云々という類いの書き物は、エッセイにしろ指南書にしろ、あるいは教本でさえあったとしても、それらをどれほど読み進めたところで「実務に触れる」ことはできませんよね。「ああ、そうなのか、ふ~ん、なるほどね」という〈外から眺める校正〉は後回し、〈自分が当事者になる校正〉を優先するのがよいのではないかと思います。言うまでもなく校正は、実務をもって校正でもありますのでね。 上の写真は、 日本エディタースクール 出版部 発行の『校正練習帳』という本で、タテ組編とヨコ組編がそれぞれ出ています。定価はいずれも  500  円(本体)プラス消費税で1冊  550  円。試しにちょっとやってみるのに金銭的な負担も少なく、分量も各  60  頁ほどの薄い本ですから、あまり時間を要さないという点でもお薦めです。端から事細かに書かれている重量級の本を摑んでしまうと挫折する可能性も出てきますのでね。まずは大網を掬うという心づもりでトライするには格好の教材だと思います。他に用意するものは芯の太さが 0.38 以上 0.5 以下の赤ボールペン1本で  OK 。ちなみに私が使用しているのは、三菱鉛筆のジェットストリーム。ペン先の滑りが良く発色が鮮やか、つまり濃く書ける、さらには速乾性も高いという点で一択です。 下の写真はタテ組編の見開きですが、右頁は「①誤字を直す」、左頁は「②文字を入れる」となっています。1項目の学習が1ページで完結するコンパクトな構成なんですね。 ピンクの囲みの部分には、校正記号の標準的な書き方と入朱例(赤字の入れ方)が表示されており、次は入朱例のとおりに赤ペンを使ってなぞり書きを行う箇所、そして今度は自分自身で入朱する箇所が続きます。頁の下段には「こんな点にも気をつけよう」という見出しで、上段で示された以外の書き方や注意事項が記されています。この見開き  2  項目を終えると、そこで学んだことをきちんと習得できているかを試す練習問題が次の頁に用意されているんですね。「校正本番」の機会が短い間隔で訪れ

公正取引委員会と在宅校正者の長電話

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Photo by Vinicius "amnx" Amano on Unsplash 以前、公正取引委員会の希望で電話ヒアリングに応じたことがあります。所得補償保険の掛け金が優遇されることただ一点が魅力で数年前に加入した団体「一般社団法人プロフェッショナル&パラレルキャリア・フリーランス協会」から、ある日1通のメールを受信、協力要請のあった任意のアンケート調査に回答、返信したのが事の始まりでした。このアンケート調査では末尾のほうで「回答後に公正取引委員会から調査協力の依頼があった場合に応じるか応じないか」という趣旨の質問があり、私は「応じる」と答えました。同じ回答をした複数名の中に私も加えられたということでしょう、当該機関担当者から初めて直接のメールを受信したとき、自分のフルネームの近くには「No.△△」という形で2桁の数字が併記されていました。 そのメールには「この調査協力の依頼は、あくまで調査が目的であり、フリーで仕事をしている個々人に生じた、あるいは生じている個別の問題について相談を受けるものでもなければ、その解決に助力するものでもない」という趣旨の断り書きがありました。「ごちゃごちゃした話は聞きませんからね。こちらの知りたいことだけを話してくださいね」ということでしょう。加えて「電話で話す時間は 30 分程度」という趣旨の文言も記されていました。「長話はお断りです。こちらが聞くことだけに答えてくれれば 30 分で足りますからね」ということでしょう。 しかしこちらが何も言っていない、尋ねてもいないのに、依頼者側があれこれ条件を付けてくるというのもおかしな話で、それをまたおかしいとも思わずに平気で言ってのけてしまうあたりがさすが霞が関ですね。世間知らずぶりが炸裂しています。この二つの「予防線」は私にとってどうでもいい事柄でしたが、随分と用心深いものだなという印象を受けました。 東京・霞が関地区  出所:国土交通省ホームぺージ(https://www.mlit.go.jp/gobuild/kasumi_kasumi_kongo_kasumi_kongo.htm) だいたい国が助けてくれるものなら、とっくの昔に助けられていたはずなんですね。いったいどれだけ一人で闘ってきたか。何の後ろ盾もない個人がたった一人で企業を相手にするわけですからね。です

在宅校正、赤ペン1本で副収入!?

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Photo by 和 平 on Unsplash   『地味にスゴイ!校閲ガール・河野悦子』―  2016  年放映のテレビ番組ですが、一般にはおよそ知られていない職業を扱うドラマでも視聴率が取れる人気女優の力はすごいものですね。「こんな仕事があるのか」「校閲ってこういう仕事なのか」― このドラマを通じて初めて知ったという方も多いのではないでしょうか。今回の記事タイトルは「在宅校正、赤ペン1本で副収入!?」― 末尾の感嘆疑問符は「何でしょうね!このフレーズは?」という私の驚倒と疑義を表しているのですが、校正・校閲の仕事に興味・関心がおありの方にはこの手の詐欺的文言に躍らされることのないよう願うところです。 出所:日テレ ホームぺージ( https://www.ntv.co.jp/jimisugo) 本日は校正・校閲の仕事について書いてみたいと思いますが、一言で仕事と言いましても範囲が広いものですから、ここでは一つ「筆記具」を切り口に進めてまいります。この筆記具というのも扱うものが書籍か雑誌か、リーフレットかポスターか、チラシかカタログか等の別によって用具が変わってくるのですが、私自身がこの  10  年余り、書籍をメインに仕事をしていますので、今回の記事では書籍に限ったお話をいたします。 下の写真は私物の一部を撮影したもので、上から順に色鉛筆グリーン、シャーペン  0.5 、 0.3 、ちなみに芯の濃度は薄めの  H ~ HB 、中間の  2B 、濃いめの  3B ~ 4B  を常に用意しています。それから赤ボールペン  0.38 、 0.5 、 1.0 、マーカーはイエローとオレンジ、青ボールペン が 0.5 。これらをよく使っていますね。表題にある「赤ペン1本」は事実に即しておらず、それだけでは仕事にならないのが実際です。 上から二つ目の画像ではご覧のとおり、出版社勤務の校閲者を演じる石原さとみさんが赤の色鉛筆1本を手にしていますね。着ている服も口紅の色も赤で統一されています。分かりやすい、伝わりやすい、摑みやすい。限りあるスペースですからこうもなるでしょう。視聴率のかかった番組宣伝用の大切なカットですから、インパクトの強いものが求められるのは仕方がないことだとも思います。ただそれとは別の話として、こうしたシンボリックな物の見せ方というのは何につけても望

校正&校閲、キャリア相談は完全無料

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Photo by Matt Collamer on Unsplash つい先日のこと「 おとなの新路相談室 」という聞いたことがないサイトの運営事務局から1通のメールを受信しました。本文中に案内のあった当該サイトを訪問してみますと「株式会社仕事旅行社」が展開するオンラインでのキャリア相談サービス事業とのこと。数年前に加入した「 一般社団法人プロフェッショナル&パラレルキャリア・フリーランス協会 」のサイトで公開している私の個人ページに連絡先として載せてあるメールアドレスを使って送信してきたんですよね。同協会でしか使用していない Gmail アドレスでしたからその点は明白です。なるほどね、そういうところに目をつけて営業をかけてきたということです。 このオンラインサービスでは「ホスト」と呼ばれるキャリアコンサルタントが、相談者と1対1のビデオ通話で当該の職業に関する情報を聞かせてくれたり、助言を与えてくれたりするそうです。私に送信されたメールの用件は、このキャリアコンサルタント、即ちホストになっていただけないか、その登録手続きをお願いできないかというものでした。そのこと自体に問題はなかったのですが、①実名での登録が原則、それは構わないと引いたものの、②顔写真も掲載、というところでダメだなとなりましてホスト登録は見送りました。ただ、①②の上をいってトドメ的にアウトだったのは、③相談者から料金を取るシステム、という点なんですね。 「ビジネス」です。運営事務局のマージンは 20 % 、なるほどそうでしょう「ビジネス」ですからね。言い直しましょう「ビジネス」であるなら当然のこと金銭が発生します。料金はホスト各自で自由に決められるようでした。数十名の登録済みホストをざっと見た限りではありますが  30 分無料、 60 分無料というホストも各1名見受けられましたので、相談者から料金を取らないという選択肢もあることは分かりましたが、そんなホストはごくわずかで大方は堂々金額を掲げていました。安い場合で 60 分あたり 1000 円から  2000 円、ただし 2000  円以下に設定しているホストは少数派。その他大勢が  3000 円から 6000 、 7000 円の間、さらには  8000 円台、 9000 円台のケースもあり、最高額は  10000 円でした。 この事業

問題は脆弱な自己、テレワークに非ず

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タイトルは「祝・テレワーク十周年記念、所感」などとしてもいい。正確には来年4月で丸十年を迎える自身の働き方が完全在宅稼働。今どきはテレワークといいますね。しかし外来語の使用や和製英語が相変わらず煌めいている漢字文化圏、東の果て日本。明治以来の劣等感を未だに引きずっているのでしょうか。十年ひと昔、けれど過ぎてみれば早いもので忘れていることもおそらく多い半面、忘れずにいることも少なくありません。言えるのは「継続こそ力なり」 ― それに尽きるということ。私は昔から気が短くて何でも誰でも簡単に切る、捨てる、放る、そういうところが長らく岩のようにどしりとあって、自分は一生こんなふうだろうなと思っていたんですが、ここ数年で少し変わりました。 ところで先述のフレーズ、昔から今も耳にするのは「継続は力なり」ですけれども、この「は」の所を「こそ」に替えて私に伝えてくれた人がいたんですね。この十年の間のことですが一度だけ言われました。二度は言わないんですよね、頭のいい人は繰り返さない。そして同じく頭のいい人は一度言われれば摑みとる。ということは、つい最近まで繰り返しメディアを飛び交っていた「安全・安心」の発信元はものすごく頭が悪いってことになりますかね(笑)「継続こそ力なり」 ― この言葉を得て以降の私は本来の「継続は~」ではなく「継続こそ~」のフレーズが根付き、おそらく今後も変わらないだろうと予想していますがこの日本語のセンスいかがでしょうか。こうして勝手に作り替えてしまうというのもその人の、あるいは個々人の才能・能力の表れの一つかと思います。 本題ですが上の写真は時々買っていた「東京新聞」の先月の記事で、見出しはご覧のとおり「テレワーク 募る孤独」 ― 。実は最近この新聞をほとんど買わなくなっていて、理由は「だいたいこの手のことを取り上げるんだよな」「で、だいたいこういう内容で書くんだよな」「で、だいたいこんな感じで締めくくるんだよな」等々、読む前から分かってしまう、察しがついてしまうので読まない、買うまでもないということですね。今回は家人が買ってきていたのをたまたま目にしたという偶然の産物なんですが、この見出しが引っかかったのでとりあえず切り抜いて保管、後日気になる箇所に傍線を引きはじめたら、本文ほとんど線を引いちゃいましてね(笑)この「気になる箇所」というのは良い意味ではなくて

嫌いな言葉は縁の下の力持ち

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昔から校正者がよく言われる言葉に「縁の下の力持ち」「陰の立役者」というのがありますけれども、これがとにかく大嫌いな表現なんですね。虫唾が走ります。この記事を出版社の社長や編集者、それとブラック編集プロダクションやブラック校正会社の方々が運よく見つけて読んでくださるといいんですがね 。頼みますよ、あ!そこのあなたよ、そこの! 言葉だけの話なら別ですが、本当にそう思っている人間がいるのが困るんですね。不快でありいい迷惑でもある。だいたい「縁の下の」ですとか「陰の」というのはね、考えたらものすごく失礼だってことに気づきません? あ、気づかないです? それではなおのこと話を続けなければなりません(笑)あのですね、そうやって陽の当たらない裏っかしのほうですとか、湿気の強い部屋の奥のほうですとかにね、校正者を押し込むのはいい加減やめなさいってこと。私たちは縁の下になどいやしないし、陰に潜んでいるわけでもありません。あなたがたと同じ土俵にいることをあなたがたが認めないというだけの話です。頭大丈夫ですか? 編集と校正の「主従関係」 ― 積年の問題ですけれども、ここをカギ括りにしているのは編集者と校正者が「主」と「従」の関係にあるとは微塵も思っていないからなんですね。それから校正者、校閲者でもいいですが、こちら側にも一定の「問題」がある。なにせ口下手、自虐的、社会性を欠き「言わない」「主張しない」もちろん仕事内容、料金に関することですがボランティアじゃないんですから黙っていないで挑むべきだと思いますよ。プライドがあるならそうすべきですし、そうしないではいられないはずです。それとも プライドが持てるほどの実力がありませんか。プライドを保てるだけの実績を積んでいませんか。プライドで自身を支えられるほど熱心には仕事をしてきていませんか。ね、そういう「問題」というものがあります。この件はいずれまた記事にするかとも思いますので、今日のところはこのへんで。 *****

校正&校閲の仕事に興味がある方へ

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Photo by Brett Jordan on Unsplash 今日はタイトルのとおり、校正や校閲の仕事に興味・関心がおありの方、校正・校閲職を希望している方にお知らせです。ここ数日の間に複数名からコンタクトがあり、ならば一度きちんと告知を行うほうがよいかと思い至った次第です。 私は通算 21 年、直近 13 年の職歴を有しています。外国語辞書に始まり、外資系日刊紙、商業印刷物、広告のほか、企業・団体・大学等教育機関の各種印刷物など様々なジャンルを対象とする実務経験を経て、以後現在は実店舗や通販サイトで販売されている書籍をメインに完全在宅稼働のフリーランスとして独立しています。但し「雑誌とウェブサイトを除く」という断り書きをいれなければなりません。その分野は詳しくありませんのであらかじめご了承ください。また、仕事は紙でしか行なっておりません。通常「ゲラ」と呼ばれるものですね。書籍の他には各種団体の定期刊行物、会報、広報誌等を日常扱っています。 校正・校閲の仕事は「やりだしてみなければわからない」、業界についても「入ってみなければわからない」それぐらいに情報が少ない職業の一つではないかと日頃から感じています。上記の業務内容はざっくりしたものですが、何かお役立ちできることがあればと思いますので、ご質問やご相談はお気軽にお寄せください。 ご連絡は「CONTACT」に記載のメールアドレスまで。「こんなことを尋ねるのは話が違うだろうか?」「こんなことを言うと相手にしてもらえないだろうか?」「こんなことを打ち明けてもいいだろうか?」などと考えこまずにどうぞ。お返事のメールは遅くとも3~4日以内、かなり遅い場合でも1週間を目途にお送りいたします。 ※関連記事「 校正&校閲、キャリア相談は完全無料 」のほうもよろしければどうぞ。 *****

目薬と視力の弱い校正者

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中学生の頃から目が悪くなりだしましてね。今の視力は右  0.1  以下、左  0.3  ですから校正者としては惜しいところなんですが、まあ仕方がないですね。無いものは無いもの、失ったものは失ったもの、潔く諦めるのも生きていくのに欠かせない要素だと思っています。落としどころですね。「諦めない」という頑張りだけがマストでもベストでも賢明でも褒められたものでもない。短時間、短期間なら諦めきれない、食い下がる、恨み言の一つも泣き言の二つも(笑)なんて状態もあるでしょうしそれでいい、仕方がないとも思いますが、どうしようもないことに対していつまでも惜しんでいたり悔やんでいたり傷ついていたりこだわり続けているといいことないなと思うんですね。 何より自分が苦しいですよね。挙句に心療内科に行ったりしましてね。せっかく専門家を頼ったのに白衣を着た初対面の人から「誰にもそんな悩みはあるものなんですよ」程度の私でも口にできるようなことを言われて傷ついたりなんかして二重苦。当然支払いも生じますから経済面で三重苦。帰路では「医者のくせにまったくなっていない」だなんて軽めの恨みと深めの失望を抱え込んだりして四重苦ですか(笑)考えている、 悩みを深めているって聞こえは障りがないですし、頭が良さそうな空気感すら周囲に放つこともできるんですが、自己陶酔や甘えの部分もなくはない。そういう類いの人を結構見てきたかなと思います。 一見賢そうに話したり書いたりしているんですが、見続けていると堂々巡りの一言というパターンが少なくありません。酷いケースだと家族や他人、友人・知人を含めての他人ですが「考え悩み思考するオレ/アタシ」を周囲にまき散らす人というのが残念ながらいらっしゃる。成熟に遠いタイプですね。自分の不満風や不幸風をビュービューゴーゴー吹きっぱなしにしているものですから、吹きつけられる側は疲労感を覚えたり、時間に比例して手立てもなくなってきたりするわけです。人間は万能ではありませんし「オレ/アタシ」な人たちにとっていつでもどこでも都合のよいイエス・キリストの如き存在になれるわけでもない。不満風と不幸風に晒され続けているうちに「こちら」の体が冷えてきますと、風を吹きっぱなしにしている「そちら」の側との関係も徐々に危ういものになってきます。 けれども「そちら」の人たちというのはそんなことをまったく気にかけて

カラダが資本、味方は高麗人参茶

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おととしの秋、地元の喫茶店でいきなり倒れて、気づいたときには完全に床に寝ている状態だったんですよね。部屋のベッドで普通に寝ているときの格好。意識消失っていうんですね。目が覚めて最初に視界に飛び込んできたのは知らない初老の男性の顔のアップ。映画館の大きなスクリーンで俳優の顔が間近に迫ってくるような感じですね。「救急車がすぐ来るからね。大丈夫だから。起きずにそのまま寝てなさい」って自分の娘か孫娘に言い聞かせるように目を合わせておっしゃったんですよね。人の気持ちや善意って素晴らしいものだと思います。 「世の中結局カネなんだよ」だなんて言う人がいますけれども違いますね。バカ言ってもらっちゃ困りますよ(笑)自覚症状はなくても倒れたときに、もしかしたら頭を打っていて、その日のうちに死んでしまう可能性がまったくなかったとも言いきれない。そんな事態に及んで偶然そこに居合わせた人が、そばで倒れた赤の他人に対してそれこそ名前も知らない、顔だって一度も見たことがない人間に優しく適切な言葉をかける、そういう人が一方にいて、それを受け止める側の人間との間のいったいどこにカネが存在しているわけですか? していないわけですよ一円たりともね。毎日の暮らしですとかもっと大きく言うなら人生ですとか、本当に突き詰めていくと問題はお金ではないんですよね。ですから「世の中結局カネなんだよ」だなんて分かったような口をきく経験不足の大人は気の毒です。世の中結局カネではないんですよ。 意識がなくなっている間に店の人が救急車を呼んでいたんですよね。現れた消防隊員は全部で3人でしたか、彼らが到着した頃には私はもう体を起こしていましたし、ゆっくりながらも腰をあげて脚の長いお洒落な椅子に座ることもできていたものですから「もう平気なのでこのまま家に帰ります」と言ったんですが「頭を打っている可能性があります」「帰宅後に異変が生じたらもっとしんどいことになりますよ」などなど、いろいろプロに言われてみますと「確かにそうだな」とどんどん納得(笑)人生初の救急搬送に同意しました。しかしサイレンというのは緊張感がありますね。信号無視、本当に速い、車がスースー進んでいく。日本は救急車がタダだからいいですね。当たり前のように一銭も払わずに乗車しているわけですけれども、世界を見れば当たり前ということでもない。オーストラリアは  10  万以